荒川区の敷地面積最低限度の規制

【追記】2021年11月29日
本件の都市計画用途地域変更の告示がありました。
東京都告示第1407号 令和3年11月26日
告示日以降は荒川区全域に敷地面積最低限度が適用されます。

荒川区の敷地細分化に対する取り組み

荒川区では、敷地の分割による日当たり・風通しなどの環境面の悪化を防ぎ、市街地の良好な環境の保全を図るとともに、密集市街地の拡大・再生産を防止することを目的として、敷地面積の細分化に関する新しい規制を導入するための都市計画変更を進めています。
現在各地区での説明会を進めており、本年(令和3年)11月頃に定めるよう手続きが進められています。

これまでも荒川や町屋、尾久の一部で「地区計画」として細分化の規制がありましたが、今回の都市計画変更で荒川区全域に規制が及ぶことになります。

荒川区の説明会資料より

今回の規制の内容

今回導入される規制は、土地を新たに分割して建築物を建てる場合には、1棟あたりの敷地面積を60㎡(約18坪)以上とする内容です。
この規制が導入されると、土地の一部を分割して建築をしようとした場合に、分割後の敷地面積が60㎡未満の場合は建築をすることができなくなります。
また60㎡未満に分割された土地は、建築物の敷地として売買することが事実上できなくなります。

なお、現在60㎡に満たない土地については、現状の敷地のままであれば、建物の新築・建替え、建築物の敷地としての売買も可能です。

荒川区の説明会資料より

規制がかかるのは「都市計画変更の告示」時点ですので、その前に分割された土地については、従来どおり建物の新築・建替え、建築物の敷地としての売買が可能です。

相続への影響

将来の相続時に子供たちに公平に財産を分けられるようにと考えて土地を分割する場合は、注意が必要です。
分割後の土地面積が60㎡未満になると、新築・建替えができない土地となり、利用価値が乏しく財産評価も低いためかえって相続人間のトラブルの原因になりかねません。
土地の分割によって60㎡未満にならないか注意をしながら、相続対策を考えていく必要があります。

また相続発生後に、相続人間で遺産分割の話し合いによって土地は分割して各相続人に分けようとする場合も注意が必要です。
分割後の土地面積が60㎡未満になると新築・建替えができないだけでなく、建築物の敷地としての売買もできませんので、相続人の思惑とは違った結果となってしまいます。
土地を分割せずに全体のまま売却をして、その代金を相続人間で分ける方がよい場合も多くなると思われます。

借地のケース

荒川区には借地上に建物を所有している方も多くいらっしゃいます。
地主が所有する広い土地に、借地人の家が多く建ち並んでいる場所も多くあります。
その場合に建物の敷地(借地)が60㎡未満の場合に、今後新築や建替えができるのかが問題となりえます。

荒川区では「60㎡に満たない土地については、現状の敷地のままであれば、建物の新築・建替え、建築物の敷地としての売買も可能」としていますので、今の家が建っている敷地のまま新築・建替えをする場合は60㎡未満でもできるということになります。
ただその証明資料として、借地契約書の記載面積や添付の測量図、建築確認申請図面などが必要になると思われますので、大切に保管をする必要があります。